カスタマーレビュー
流通チャネルの多様なプレーヤーの動向から流通を概観できます 六本木ヒルズオープンで話題の「森ビル」、全く異なった戦略をとりつつ覇権を競うGMS「イトーヨーカドー」と「イオン」、小売と並んで流通チャネルの主要プレーヤーである卸の「菱食」、面白いところでは和菓子屋の「赤福」など、流通チャネルの様々な段階、領域の企業のケーススタディーを読むことで、日本の流通の現状や課題を概観することができ、更に今後の行方についても知見を深めることができます。 企業ごとの事例を扱っているので、流通についてあまり知識がなくても解かり易く読め、流通領域を俯瞰する入門書として最適です。特に各事例の後の伊藤元重さんのコメントは、経済全般に精通した氏ならではの見解で示唆に富んでいます。「流通業の変化というと、私たちの目につきやすい小売業の!変化が取り上げられることが多いが、ある意味では卸売業のほうが大きく変化していると言ってもよいかもしれない」とおっしゃっているのは示唆的でした。 別の本(「流通は進化する」中公新書)で同氏は「流通が日本経済を変える」と言っていますが、まさにその予兆を感じさせる本でした。入門書としても成功事例の紹介としても10の流通関連企業トップに対するインタビューを基にした本。 もともとは雑誌に連載されていたものに加筆・修正を加えてあり 雑誌の連載を読んでいた人でも、体系立てて読むことで 知識の整理に役立つものとなっている。 紹介されている企業は、それぞれ名の通った企業であり 読んでいて非常に身近に感じられるところが好印象。 それぞれの事例がコンパクトにまとめられているので、 特に興味を覚えた企業については、別の書物を読んでみる等 各企業の取組に対する入門書的な位置付けも与えられるだろう。 新書版だが内容は豊富であり、 その使い方も様々で幅広い読み方ができる。 最新の動向や成功企業の戦略を手軽に掴むことが出来る とてもお得な本だと思う。新書版で10例も味わえるのは、それなりのお買得。「流通業は変化対応型産業のひな型」という著者の主張に、説得力を感じる。 この本のウリは、理屈ではなく、10からなる実例を紹介しているところにある。 紹介の内容そのものは、雑誌「Voice」の1年間の連載作品からの転用ゆえ、さほど新鮮味を感じさせないが、各章の終わりに著者のコメントがあり、それはなかなか読ませる。それにしても新書版で、10例も味わえるのだから、それなりのお買得商品である。 本書の中でイトーヨーカ堂の社長が「POSを使うのは仮説を検証するためであって、売上結果を見るためではない」というところに、「常に未来の状況を意識して、今に備えていく」経営者の立派な姿勢を感じた。 またワンブランド展開の吉野家では、「人時客数(店員一人の1時間あたりの接客数)!現在の11人から15人に上げる」、そのために「仕事の流れを根本から見直した」とレポートされているが、こういう『具体的な目標と、それを実践するための行動展開』を掲げるところが、勝ち組企業の由縁なのだと思う。これは多くの企業において欠けている点で、大変ために小品である。
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