レビュー
96年に出版された『成川式 文章の書き方』は、ビジネス文書や論文など、ものごとを正確に伝える必要のある文章を書くノウハウを集めた本である。その新訂版である本書は、前作に寄せられた読者からの質問や疑問をもとに、さらに改良を加え、20以上の新しい項目を追加したもの。内容は、1ページごと、もしくは見開きで完結しており、「悪い例」と「良い例」を挙げながら、改善ポイントを数個ずつ列記している。 具体的な文章作法や、避けた方が良い表現、注意すべき表記に関しては、第2章以降に詳しく書かれている。「『訓読みの表現』を、なるべく使う」や、「熟語動詞を、和語の動詞に置き換える」などといった主張は、硬い表現が好まれるビジネス文書に慣れた頭に、新鮮な刺激となるはずだ。また、「同音異義語や同訓異字の間違いに注意する」など、パソコンで文章を書くことを前提にした注意事項も多く、実践的な内容になっている。 基本的に本書は、文章を書く際に、辞書のように使うべきハンドブックである。しかし著者は、「文章上達のための心構え」として、よい文章とはどのようなものを指すのか、また、文章が上達するためのコツとは何かについても紙幅を割いている。第1章の24項目には、とにかくたくさん書くこと、声を出して推敲することなどといった基本的な心構えが満載。具体的な文章作成のノウハウとは毛色の異なる内容であるが、文章に自信の無い人は、必読である。(朝倉真弓)
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