日本人よ。成功の原点に戻れ

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日本人よ。成功の原点に戻れ

日本人よ。成功の原点に戻れ ISBN:4569631452
出版社:PHP研究所
Author:マハティール・ビン・モハマド 橋本 光平 
Media:単行本
価格:1,575




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レビュー
   22年にわたってマレーシアの首相をつとめたマハティール・ビン・モハマドの日本人へのメッセージである。アジアでもすぐれてカリスマ的なこの政治指導者は、戦後一貫して日本の経済復興ぶりを凝視してきた。有名な「マハティールのルックイースト政策」は、戦争に勝った欧米諸国にではなく、敗戦国の日本にこそ学ぶべきものがあるという強い確信の表れだったのである。しかし、自ら「日本は大好き」というマハティールも、最近の日本には失望している。だから、声を大にして言うのだ。

 「日本人よ、成功の原点に戻れ」「きれいで、清潔で、明朗で、勤勉で規律ある社会」が、マハティールの抱いてきた日本像だった。そして、戦禍の跡から世界第2位の経済大国を立ち上げたのは、驚くべき適応力、さまざまな分野における専門性の吸収力、それを支えてきた高い勤勉性と規律だった、とする。「日本株式会社」「系列」「終身雇用制」は、そうした伝統社会に育まれてきた日本独特のビジネススタイルだったのに、日本は「グローバリゼーション」という聞こえのいい世界基準を導入して、戦後復興を成し遂げた日本独特の経済システムを、自らの手で破壊してしまった。

 「振り返ってみれば、80年代までの日本の成功神話は、まず、アメリカの要請による円高政策によって方向転換し、90年代の『グローバリゼーション』によって、再び破壊されることになる。『グローバリゼーション』の信奉者は、官民一体型や、系列といった日本のビジネススタイルを否定し、一夜にしてそれを破壊した」。イスラム教にせよキリスト教にせよ、そして民主主義にせよ、他者の価値観を否定する画一的で絶対的な価値体系はありえないというのが、マハティールの持論である。「多元的的で異なった文化や価値観を受け入れるシステム」を「アジア的」、価値観の多元性を認めないグローバリズムを「西欧的」と、この人は呼ぶ。「日本は非西欧的多元性が成功した証し」であり、だからこそ「日本のリーダーシップを、アジアは仰いでいる」。マハティールは日本人の自信回復にこそ期待を寄せるのである。(伊藤延司)



カスタマーレビュー
戻るのではなく、進むということ成功の原点に戻れ - それは、バブル期、あるいは、高度成長期の日本に戻れということのようだが、日本人がそこに戻らないのは、戻りたくないからだ。経済の高度成長は、生活を豊かにしたけれど、個人の充実は置き去りにされた部分がある。氏は、今の日本に企業戦士がいないことを嘆いておられるようだが、父が家庭に不在で、ひたすら企業の中のみに生きる場所を見出して、振り返ったら、出世競争に敗れ、家庭は崩壊している、そんなことは、もう二度と繰り返したくない。

氏は、権力者にありがちなように、秩序が大好きなようだが、それは、秩序の上にくるものの発想だ。弱者の痛みを考慮していない。若者や女性が個人の幸せを追求していることは、自分勝手と見え、秩序の崩壊が様々な社会問題を引き起こすとし、大家族制の復活を唱えているが、それは不可能だし、ナンセンスだ。しかも、共働きを非難しつつ、家庭の重要性を述べるが、その際、家庭に縛られるのは女性に決まっているというのはすでに固定観念となっているようだ。社会で働くことよりも、家庭の営みが重要だと思うのであれば、自分(男性)が、仕事を辞めて家に入ればよいではないか。「自分ができないことを他人にしてもらうのは不可能だ。」と別の箇所では述べているにもかかわらず、本人は、他人に押し付けることは平気なのか。そうではなくて、別の道が必要なのだ。たとえば、子育ては、学ぶことの多い人生経験である。子育てのために一時リタイアした人間を、キャリアのない人間として排除するのではなく、人材育成のマネジメントを学んだ人間として、再び社会に迎え入れる発想の転換、あるいは、システムを構築すべきである。そうすれば、経済と家庭というものは、両立しうるものになる。

このように、ただ、戻れ、といわれるだけでは、解決しない問題に私たちは取り組んでいるのであり、そのことに対する理解は少ないと思う。

インタビューを構成しなおしたもののせいか、あまり内容に深みはないが、分かりやすく説得的で、氏の個人的な魅力も十分出ていて、その点では、面白く読めた。

最後に、アメリカに在住している者として、グローバリゼーションが「アメリカ化」と同義であるという氏の意見は、アメリカでは常識であることを付け加えたい。彼らは、本気で、世界中の人に英語をしゃべらせ、ハンバーガーを食べさせたいと思っている。そして、アメリカ人の多くは、ほとんどインターナショナルに興味がない。そんな中で、グローバリゼーションという言葉の響きに酔って、アメリカ化ひた走ろうとしている日本は、滑稽に見える。文化は、違うからこそ素晴らしい、という氏の意見には、賛成である。アメリカに合わせていては負けるに決まっている マレーシア前首相マハティール氏が、アメリカに追従するだけのグローバリゼーションを止めよ、と独自の主張を展開する書である。

 22年間首相を務めた実績と自信から湧き出す提言の数々が心地よく心に響いてくる。「イラク戦争と五つの虚構」から説き起こし、物質主義の西洋のように「力」で問題を解決するのではなく、多元的で異なった文化や価値観を受け入れる東洋の良い点を生かしていくべきである、と主張する。日本は多元的な価値観や文化を受け入れながら成功した唯一の国として(本当かな?)、アジアのリーダーシップを取るべきである。日本はもっと自信を持て、と励ましてくれる本書を読めば少しは元気になれるかも。

 「本書は10時間のインタビューによって構成された」と表紙に小さく書いてある。中身は少し薄く感じるが、そのぶん一気に読める。

 本書を読んで、私の尊敬する先輩の言葉を思い出す。「グローバリゼーションなんて言ってアメリカに合わせていては負けるに決まっている。アメリカ原住民の実例が証明しているじゃないか。インディアンはグローバリゼーションのおかげで多くの部族が滅ばされたのだ」と言い切る先輩。思わず「その通り!」と納得。インタビューから構成された本この本はマハティール氏自身が書きつづったものではなく、
インタビューから構成されたものだという。
この事がこの本の性格を良くも悪くも決定づけている。
もしこの本の内容を、例えば講演会で聴いたなら、
とても興味深い話だったと満足して帰ったかも知れない。
しかし、本としては物足りなさが拭えなかった。

この本を読めばマハティール氏の物事の捉え方、
考え方を知る事は出来る。
しかし、それらが説得力を持つだけの
(例えばクライド・プレストウィッツ著「ならずもの国家アメリカ」のような)
肉付き、奥行きには乏しい。
マハティール氏に興味を持つ人が、彼の物の見方を知りたいというのであれば、

お薦め出来る本だと言えるが、そこから何かを得たいと思う人には、
あまり実り多き収穫は期待出来ない本だと思われる。



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