レビュー
TCP/IP経由でディレクトリサービスを提供するLDAPは商用のアプリケージョンも多く存在するが、オープンソースであるOpenLDAPもディレクトリサービスを提供する手段として有力だ。Linuxのパッケージなどに標準でついてくるということもあり、LDAPの入門としても使いやすいといえる。 本書はOpenLDAPについて解説したもので、LDAPの概要からOpenLDAPのセットアップ、基本設定とデータの投入、LDAPのクライアントツール、サーバの高度な設定、LDAPクライアントAPI、ディレクトリサービスシステム構築、そして運用のTIPsが扱われている。内容は初歩的な操作から扱っており、各コマンドの解説ではコマンドの書式とともに実行結果の例を掲載している。GUIのアプリケーション操作についてもキャプチャ画面を使用して解説するなど、初心者にも理解しやすい構成をとっている。 機能の説明についてはSSL/TLSによる通信路の保障や分散ディレクトリ、RDBMSなども扱っているので、ある程度高度な部分までを把握できるだろう。ただしUNIX系OSの操作の仕方については特に触れていないため、設定ファイルの編集の仕方や基本的なコマンドといったUNIX操作の基礎はあらかじめ押さえておく必要がある。 付録には、OpenLDAP configureスクリプトのオプション、サーバ設定ディレクトリ部の一覧、OpenLDAP標準スキーマ一覧、OpenLDAPのツールマニュアルが収録されており、実際の作業において操作を参照したい場合に便利な構成になっている。また、LDAPの情報ソースやRFCの情報も収録されているので、より高度な情報を検索したい場合に役立つだろう。 入手の容易なOpenLDAPを元に、LDAPのサーバの構築からクライアントの設定、ディレクトリサービスの構築までを一通り学ぶことができる本書は、LDAPについて初めて学ぶ方に一読をすすめたい。(齋藤牧人)
カスタマーレビュー
待望の一冊OpenLDAPを調べたことのある人なら必ずお世話になったであろう稲地氏による待望の一冊。目次を見れば分かるとおり、導入から高度な設定まで幅広く述べられており、OpenLDAPの入門書はこの一冊以外ないでしょう。バージョンは2.0系、2.1系を扱っており、ポイントごとにその設定方法の違いについて載せてくれている親切設計◎。また、他のソフトウェアで重要な機能を補完(利用と言ったほうが良いのかも)しているOpenLDAPならではの複雑さ風通しの悪さにもチャレンジしている。都合がいいかも知れないが、目的別に設計、導入?運用までをフローチャートなどで表すなど、全体を見渡すというのは難しいのだろうか。あと、バージョンアップ、アンインストール、パッチ当てなんかについても述べて欲しかった。要望もある!情報が不足、散乱した中でこの本は待ち望んでいた一冊であり、ますますOpenLDAPは加速するであろう。タイムリーな内容でした。OpenLDAPにターゲットを絞った解説書をここ数ヶ月探しておりましたので、早速購入し、読ませていただきました。導入から設定まで、詳細かつ具体的にまとめられていますので、OpenLDAPのテスト導入を検討している立場においては大変役に立ちます。 今後の要望としましては、導入企画・立案に関する具体的な解説が欲しいところです。続編に期待します。
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