レビュー
このところ、プロジェクト管理手法、特にシステム開発についての本が多く出版されており、その内容も学術的なものから精神論に近いものまで、さまざまな角度から検討されている。技術や経済環境の変化によって、従来の手法が通用しにくくなっていることが一因だが、そのニーズの多さは技術の複雑化、多様化に伴うプロジェクトマネージャーたちの不安の表れとも受け取れなくはない。プロジェクト管理は総合力と専門性を同時に問われる役割であり、だからこそ「これだけ覚えておけば済む」という性格のものではない。ロジックと経験の両方がそろって、初めて成功への道が開ける。 本書は各種テンプレートによるプロジェクト管理の実践、PMBOKやISO9126等の品質管理基準の実践への適用、Microsoftのプロジェクト管理ツール「MS Project」の適用の3つに主眼を置いて書かれている。とはいえ、堅苦しい方法論に終始しているわけではない。現場からの視点で、どうしたらプロジェクトを効率よく、問題の発生を押さえながら成功させるかをかみ砕いて説明しているので、共感を得ながら気楽に読み進めていくことができる。その一方で、豊富なテンプレートと参考例により、実務への適応もすぐにでも行えるよう配慮されている。 プロジェクト管理にはロジックと経験の両輪がそろっていることが不可欠だが、本書はその両方を同時に補うことができる好著に仕上がっている。初心者から現役のプロジェクトマネージャーまで、あらゆる層におすすめできる。(大脇太一)
カスタマーレビュー
初心者向け管理ツールとしてはすばらしいシステム関連の企画・営業をやっています。 「プロジェクト管理入門」というタイトル名からSE向けの本と思われるが、 営業としても十分に実践できる内容と思われる。 「プロジェクト管理」は何もIT分野だけのものではなく、 我々が日常携わっている業務は何かしらの「プロジェクト」である場合が多い。 「質問管理シート」「総合スケジュール」「体制図」「リスク一覧」などの テンプレートなどは積極的に利用することで、業務をより効率的に推進する ことが可能と思われる。 付属のCD?ROMには本書で紹介されたテンプレートが収められており、 すぐにでも実務に役立てられる。 この点で、本書は非常にすぐれていると感じる。 ただ、入社2?3年をすぎたSEやコンサルタントの方には 本書では物足りなさを感じるのではないだろうか。 タイトルにもある通り、あくまでも「入門」であるので、 プロジェクト管理の詳細について学ぶのであれば より専門的な書籍を求めるべきであろう。入門書でもあり実践への指南書でもある会社でシステムを導入する比較的大掛かりなプロジェクトがあった折、営業担当者から、初めてプロジェクト・マネージャーの存在を知った。その時、いろいろ入門書を手に取って読んでみたが、入門書的でありながら、実践の場ですぐに応用できる基礎的な知識を解説している点で、本書は優れている。Excelのテンプレートが添付されているところも親切である。インパクトはない本書は、プロジェクト計画書はこうやって書こうといった入門的かつ概念的な手引書である。新入社員?若手社員向けの入門書としては悪くないが、マネージャクラスの人が読むほどのものではない。 書いてあることはまっとうなのだが、読後感として印象に残るものがなかったのは、私の勉強不足だろうか? 具体的な事例などで内容を補強すれば、もっと良かったかもしれない。
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